01委任状がいるのはどんなとき?
普通車の名義変更(移転登録)は、新しい持ち主と前の持ち主が一緒に申請する手続きです。自動車登録令は「登録は、登録権利者及び登録義務者又はこれらの者の代理人が運輸監理部又は運輸支局に出頭して申請しなければならない」としています(第10条)。登録権利者は新しい持ち主、登録義務者は前の持ち主のことです。
そのため2人とも、自分で窓口に行くか、行く人に委任状を渡すかのどちらかです。国土交通省の案内は、新旧所有者の委任状について「代理人による申請の場合に限り必要。」「実印を押印。」としています。自分で行く人は、委任状の代わりに申請書に実印を押します(「新旧所有者本人が直接申請する場合は実印を押印。」)。
| 窓口に行く人 | 必要な委任状 |
|---|---|
| 新しい持ち主が一人で | 前の持ち主の委任状(受任者=新しい持ち主) |
| 前の持ち主が一人で | 新しい持ち主の委任状(受任者=前の持ち主) |
| 2人そろって | いりません |
| 家族・知人など別の人 | 前の持ち主と新しい持ち主、それぞれの委任状(受任者=行く人) |
- 受任者は新しい持ち主でもいい:受任者(任される人)には、実際に窓口に行く人を書きます。新しい持ち主本人でかまいません。OSS(オンライン申請)の手引きも、前の持ち主が「申請を所有者もしくは代理人に委任する場合」と書いています。
- 印鑑証明書はどちらにしても要る:東北運輸局は、前の持ち主も新しい持ち主も「印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)」を用意するものに挙げています。前の持ち主は、自分で行くなら実印、行かないなら「印鑑証明書の印鑑(実印)を押印した委任状」です(普通車の必要書類)。
- 報酬をもらって書類を作れるのは行政書士だけ:四国運輸局は「行政書士でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を行うことは行政書士法により禁止されています」と注意しています。
02様式は自由、実際は国の様式
委任状には、法令で決まった様式はありません。福島運輸支局は「委任状の様式は特に定められてはおりませんが、自動車の登録申請用に作成した様式例を下記にアップしておりますのでご活用ください」、北海道運輸局は「必要な項目を記載した任意の様式ですので、他の様式でも手続き可能です」としています。
それでも実際には、各地方運輸局が載せている委任状のほとんどが、国土交通省の自動車登録ポータルの委任状と同じ文面です。中部運輸局と四国運輸局は、ポータルの様式にリンクしています。ポータルのPDFは2ページで、1ページ目が白紙、2ページ目が記載例です。名義変更メーカーの委任状も、この様式に合わせています。
国土交通省の委任状の本文は、この一文だけです。
上記の者を代理人と定め、下記自動車の検査登録申請・届出に係る一切の権限を委任します。
任せる手続きを選ぶ欄はありません。

03欄ごとの書き方
「」の中は、国土交通省の記載例の言葉です。
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 受任者 氏名・住所 | 「代理人(実際に窓口に行く人)の氏名・住所を記入してください。」新しい持ち主が自分で行くなら、新しい持ち主の氏名・住所です |
| 自動車登録番号(車両番号)又は車台番号 | ナンバー(登録番号)か車台番号のどちらかを書きます。「車検証を確認の上、正確に記載してください。」 |
| 年月日 | 「委任した年月日を記入してください。(西暦・和暦どちらでも可)」 |
| 委任者 氏名又は名称・住所 | 手続きを頼む人です。「代理人に手続きを依頼する人の氏名(法人の場合は、法人名+代表者名)、住所を記入してください。2箇所どちらに記入していただいても結構です。」 |
| 委任者の押印欄 | 名義変更(移転登録)では実印を押します |
| 訂正欄 | 書き間違えたときに使います(下の「書き間違えたら」) |
- 日付は委任した日:窓口に出す日ではありません。新潟運輸支局の記入例も「申請日ではなく、委任状を記入した日付を記入してください。」としています。
- 住所は省略しない:北海道運輸局は「申請書と突合するため、住所も省略できません」としています。
- 委任者の氏名・住所:委任状の記載例には、譲渡証明書のような「印鑑証明書のとおり」という言葉はありません。このツールでは、譲渡証明書に入れたのと同じ氏名・住所が委任状にも入ります。
- 手書きでも印刷でもいい:「ボールペン等を用いて消えない文字とし、間違えないように記入してください。(手書き、印刷、ゴム印などで記入)」。東北運輸局は「記入した文字をこすると消すことができるタイプのペンも使用できません。」としています。
- 1人1枚で作る:委任者の欄は2つありますが、前の持ち主と新しい持ち主を1枚にまとめてよいかは、公式の案内に書かれていません。このツールでは、窓口に行かない人ごとに1枚ずつ作ります。
04実印を押す
名義変更(移転登録)の委任状には、委任する人の実印(印鑑証明書に登録されている印鑑)を押します。国土交通省の記載例は「自動車の下記手続きを委任する場合は押印欄に実印を押印してください。(新規登録、移転登録、永久抹消登録、輸出抹消仮登録、一時抹消登録)」としています。北海道運輸局の記載例も「印鑑証明書を添付する申請では実印押印」です。
委任状を渡した人は、申請書に印を押さなくてかまいません。国土交通省の申請書記入例は「旧所有者の実印が押印された委任状をお持ちの場合は、押印する必要はありません」「新所有者の実印が押印された委任状をお持ちの場合は、押印する必要はありません」としています。
05書き間違えたら(訂正欄と捨印)
国土交通省の記載例は「記載を間違えた場合、訂正欄に委任者欄と同じ印を押印した上で、訂正・削除・追加した文字数を記入してください。」としています。消した字は読めるように残します(自動車登録令 第37条「その削除に係る文字は、なお読むことができるように字体を残さなければならない」)。
捨印(あとで直せるように、あらかじめ訂正欄に押しておく印)で直せることは限られています。
- 東北運輸局「訂正欄への押印(捨印)は必須ではありません。捨印で訂正できる箇所は住所表記の明らかな錯誤等に限ります。それ以外の訂正については原則、訂正印(訂正箇所へのかぶせ印)が必要になります。」
- 長野運輸支局「委任者との合意形成を著しく損なう場合は、捨印での訂正は認められません。」とし、例として「受任者を第三者へ変更するような修正」「自動車登録番号又は車台番号の修正」を挙げています。
受任者や登録番号・車台番号を間違えたら、印刷し直して実印を押し直してもらうのが確実です。
06使用者の委任状
車を使う人(使用者)が、新しい持ち主と別の人のときの話です。国土交通省の案内は、使用者の委任状について「申請書に使用者の記名があれば不要。」「旧使用者のものは不要。」としています。申請書の使用者の欄に氏名を書けば、委任状は要りません。使用者の住所が分かる書類(住民票など、コピー可)は別に要ります(普通車の必要書類)。
使用者の委任状に実印が要るかどうかは、公式の案内でははっきりしません。国土交通省の記載例は「移転登録」なら実印としていますが、所有者と使用者を分けていません。一方、新潟運輸支局の古い様式の記入例には「使用者については認印又は自筆による署名でも結構です。」とあります。使用者の委任状を使うときは、出す先の運輸支局に確かめてください。
07ほかの委任状・申請依頼書との違い
- 重量税の還付には使えない:東北運輸局は「この委任状は自動車重量税還付申請に関する権限を委任できません。」、北海道運輸局は「この委任状は、自動車重量税還付金の受領権限に関する委任状には使用できません。」としています。
- 軽自動車は申請依頼書:軽自動車の名義変更には委任状を使いません。軽自動車検査協会は「使用者に変更がある場合は、新しい使用者の方(使用者に変更が無い場合は、使用者の方)以外がお手続きをされる場合は、「申請依頼書」の提出が必要になります」としています。窓口に行く人が自分の氏名・住所を書く書類で、依頼した人の署名や押印の欄はありません(申請依頼書の書き方)。
- 車庫証明の委任状は別のもの:警察署に出す車庫証明の委任状は、運輸支局に出すこの委任状とは別の書類です(車庫証明メーカー「車庫証明の委任状」)。
08よくある質問
自分で運輸支局に行くなら、委任状はいりませんか?
いりません。新旧所有者の委任状は「代理人による申請の場合に限り必要」です(国土交通省)。自分で行く人は、申請書に実印を押します。
新しい持ち主が一人で行くとき、受任者の欄には誰を書きますか?
新しい持ち主本人です。受任者の欄には「代理人(実際に窓口に行く人)」の氏名・住所を書きます。前の持ち主が委任者の欄に氏名・住所を書き、実印を押します。
委任状の印鑑は認印でもいいですか?
新旧の持ち主の委任状は、名義変更(移転登録)では実印です。使用者の委任状については公式の案内がはっきりしないので、出す先の運輸支局に確かめてください。
委任状の日付はいつにしますか?西暦でもいいですか?
委任した日を書きます。国土交通省の記載例は「西暦・和暦どちらでも可」としています。
委任状に有効期限はありますか?
委任状そのものの期限は、公式の案内に書かれていません。一緒に出す印鑑証明書は、発行から3か月以内のものが必要です(東北運輸局)。
捨印を押しておけば、あとで何でも直せますか?
直せません。捨印で直せるのは住所表記の明らかな誤りなどに限られます(東北運輸局)。受任者や登録番号・車台番号は、捨印では直せません(長野運輸支局)。
軽自動車の名義変更にも委任状はいりますか?
委任状ではなく申請依頼書を使います。新しく車を使う本人が窓口に行くなら要りません(軽自動車検査協会)。
09出典
この記事は次の公的な資料をもとに書いています(2026年10月19日に確認)。手続きの細かい点は地域や窓口によって違うことがあるので、提出先の運輸支局・軽自動車検査協会の案内もご確認ください。
- 自動車登録令 第10条・第37条(e-Gov法令検索)
- 国土交通省 自動車登録ポータル「車を売買等により名義変更するために必要な書類」
- 国土交通省 自動車登録ポータル 委任状と記載例(PDF)
- 国土交通省 自動車登録ポータル 登録車の申請書記入例(PDF)
- 自動車保有関係手続のワンストップサービス 移転登録(所有者本人)申請画面マニュアル(PDF)
- 北海道運輸局 登録関係の書式・様式
- 北海道運輸局 委任状の記載例(PDF)
- 東北運輸局 委任状(記入例つき・PDF)
- 東北運輸局 よくある質問(名義変更に必要なもの)
- 東北運輸局 福島運輸支局 申請書類の様式
- 北陸信越運輸局 長野運輸支局 委任状(記入例つき・PDF)
- 北陸信越運輸局 新潟運輸支局 委任状の記入例(PDF)
- 四国運輸局 自動車の登録
- 沖縄総合事務局 陸運事務所 登録の申請書類
- 軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」
- 軽自動車検査協会「各種申請書類の一覧と記入例」
- 軽自動車検査協会 押印・署名の廃止のお知らせ(PDF)